~World Cosplayers~第1回はイタリア人コスプレイヤーユリコタイガーさん。
彼女はなぜコスプレイヤーになったのか、また爆発的人気で地位が確立されているイタリアを飛び出し、なぜ日本に住んで活動しているのか…魅力溢れる彼女のルーツや海外のコスプレイベント事情、日本人コスプレイヤーが世界で活躍するためのアドバイスなどさまざまな角度のお話しをしていただきました。
【~日本から世界へ、世界から日本へ~】
emoma!編集部が注目する、日本または海外で活躍するさまざまな国出身のコスプレイヤーをさまざまな角度から魅力に迫っていく特集です。
周りから普通じゃないと思われても自分がしたいことを続けた
アニメは小さい頃にイタリアでインターネットやDVDで見て好き!って思ったんです。
それからセーラームーンとかアニメに出てくるいろいろなものに対して「制服って何?」「この食べ物は何?」「なんで私の町にはない物ばかり出てくるの?」って全てが凄く気になって勉強し始めました。
コスプレは元々イタリアには大きなカーニバルとかハロウィンとか仮装する文化があるので、小さい頃からコスチュームを着ることに馴染みがありました。
そういうイベントの時にお母さんが衣装を買ってくると普通の黒猫ちゃんの衣装でも『これはバッドマンのキャットウーマンだ!』ってすぐキャラクターの衣装に変換されてしか見えなかったから、実はすごく小さい頃からコスプレしたかったんだと思います。
イタリア語で見ることは出来たけど、全て日本語で見ていました。
キャラクターの声をイタリア語で聞きたくなかったの。
日本語とイタリア語では声から伝わる気持ちが全然違うし、イタリア語だとイタリア人っぽくなっちゃうでしょ?
そうすると、『このキャラは絶対こんなイタリア人っぽくない!!』って思うから、絶対に意味が分からなくてもイマジネーション働かせて日本語で見ていました。
全然!私一人だけでした。
今はインターネットがあるからイタリアでも日本のものを知れるし流行っているものも分かると思いますけど、その時は誰も日本のカルチャーを知らなかったの。
だから、いつも原宿ファッションみたいな洋服を来て、J-POPしか聞いていなかった私は「なんで変な格好しているんだ?」「なんでイタリアの曲知らないの?」って言われたし「なんで皆と違うの?」「なんで普通じゃないの?」って言われていました。
「自分の国は好きじゃないの?」とも良く言われましたね。。
だから中学はイジメで4回も転校しました。
でも私は普通って何?って思ったし、あなたの普通と私の普通は違うって思ったから自分がしたいことを続けました。
本気でキャラクターのことを勉強して本物になる
涼宮ハルヒでした!
2007年に初めて見た瞬間にどこか私に似てるなって思って、彼女になってみたい!本物になってみたい!って思いまして。
衣装を作ったけどウィッグがなかったので自分の髪を切って染めてやってみました。
イベントに行った時に私の名前じゃなくて「涼宮さんですよね?」ってキャラクターの名前で言われた時、キャラクターになれた気がして凄く嬉しかったです!
自分の憧れのキャラクターやヒロインになりきれること。
それとコスプレイヤーさんを通して会いたかったキャラクターやヒロインに会えるってことも。
子供の頃に誰もが持つ夢が叶う素晴らしい趣味だと思います。
あとは世界と繋がれる。同じ趣味の人と繋がれると良い経験が出来ます。
私のことでいうと初めは自分に自信がなくて本当にステージや人前に立つことが嫌で苦手でした。
でもコスプレのおかげで仕事になってお客さんが自分のパフォーマンスを見て好き!って言ってくれればいいと思えて緊張しなくなったし、緊張しても楽しいって思えるようになって逆にステージに立つことが好きだなって思うようになりました!
人として凄く成長しました。
そうです。
一番たくさんもらったのはベストパフォーマンス賞。
16才で幼かったからもの凄い衣装は作れなかったので、キャラクターになりきるパフォーマンスに力を入れました。
今でもキャラクターになりきることでは絶対に負けません!
キャラクターのことは喋り方から歩き方・セリフ・好き嫌い…何から何まで全部勉強してイベントに出る時は本当になりきります!!
外国人のコスプレイヤーは世界に沢山いるから、忘れられない存在になる為に勉強して自分の中での“キャラクターの本物”を見せたいという気持ちでコスプレやってます。
“ユリコ”の面も、“タイガー”の面も必要
元々8才の頃から自分に“ユリコ”と名付けてたし、ずっと「日本に行きたい!」「日本に住みたい!!」って言い続けてたの。
2013年からずっと日本に住んでいるけど、行くことを決めた時に親に言ったら“来るべき時が来たな”って感じの反応でした。
それでも日本に行く時は自分に勇気が必要で『ユリコ』に強い意味を込めて『タイガー』を付けました。
“優しい” “可愛い” “日本人っぽい”『ユリコ』と、“めちゃめちゃ強い” “セクシー” “ちょっと危ない”『タイガー』を合わせて自分の性格を表現しました。
日本に来てから文化の違いを感じたし、日本の良い面だけじゃなく悪い面も見えて悲しくなった時もあったけどそれが良かった。
住むってそういうことでしょ!?
良いところも悪いところも全部見て初めて日本の良さが分かりました。
イタリアにはコスプレのイベントは沢山あって月1~2回は国内のどこかで開催されています。
でもコミケのようなイベントはなくて全然雰囲気が違います。イタリアのコスプレイベントは日本の地方のイベントに近いかな。
ランウェイがあったりトークイベントがあったりして、子供が家族と来たり学生が来たりするイベントで必ずコンテストがあります。
だから凄い露出の多い衣装などは禁止です。
イタリアやヨーロッパにはコスプレのコンテストがいっぱいあるのに日本になくて逆にビックリしました。
日本のカルチャーは人気だと思うし、コスプレは浸透してきているけど“変態”っていう偏見もまだあるから、それについて時々すごいイタリア人と喧嘩になることがあります。
日本のコスプレイヤーが海外で活躍するためには、イタリアにはオタクという言葉がないし、アイドル文化もないから可愛いだけとか周りと同じ表現だと注目されないと思います。
日本だとアニメに忠実に再現出来ているとバズって人気が出ることもあると思いますけど、海外だとプラスαが求められると思います。
そういう意味じゃ最近だと麗華さんの男装がすごい!と話題になってます。
女性の顔から男性の顔に変えられるなんて凄いスキルです。
そういったパフォーマンスとかメイクとかプラスして何かスキルがないとイタリアでは人気は出ませんね。
周りに流されずに自分の人生は自分で決めるべき
海外には1年間に3回くらい行っていて、ファンの多いイタリアが中心だけどカナダやマレーシアで仕事することもあります。
スケジュールは例えば2週間イタリアに行くとしたら、平日はファンミーティングとかPRやCMのお仕事。週末はイベントに出ています。
イベントはコスプレのイベントにゲストで呼ばれて、コスプレコンテストのジャッジメントをしたり、講師になって話したりします。
私の場合は自分の今までのストーリーや日本のエンターテイメントと文化について話していて大体いつも満席になります。
なんか変なんだけど海外のイベントで話す時、私は日本語で話します。私が日本語で話して通訳の人が翻訳する。笑
その方が喜ばれるんです。
ストレートにアドバイスすると、まずは英語を勉強した方がいいです。
私もそこまで英語は分からなくてビギナーレベルだけど、それがないと本当に危ないんです。
例えば、外国人は日本語が分からなくても大丈夫でしょ!?本当に安全です。
でも海外はそんなに甘くないから、本当に何かあった時にHELPが伝えられないと危険です。
あとは、文化も少し理解してから行った方がいいと思います。外国でもイタリアとアメリカでは違うし、その国その国で違うから。
コスプレする時も公式に沿ったキャラクターの設定や肌の色だったとしても問題になることはあります。
私も気を抜くと危ないくらいだから、本当に気をつけた方がいいです。
でも海外へ行くことは本当に良い経験になると思います。
海外の人はどんな考えで、どういった行動を取るのか見てみると凄く良い経験になります。
最後に、海外の人はすごくフレンドリーだから友達になって普通に楽しんでね。
ロックバンドがやりたい!
ずっと音楽を作りたくて、ファンションもデッサン書き溜めているから音楽に合わせた衣装も作りたいし、パフォーマンスもやりたいんです。
最初スタッフに話したら「じゃ外国人のメンバー探さなきゃね。」って言われたけど私は嫌で、絶対に日本人がいい!日本人の才能がほしいから!J-ROCKがやりたいとずっと思ってます!
それとバンドの時はコスプレしません。
コスプレは凄く大事にしているから、このキャラはこの歌って唄う?とか考えてしまうと思いっきり出来ないと思うから。
コスプレイヤーとしてはもっと地方のイベントに出てみたいです。
コスプレイヤーとして逆に日本人にコスプレを魅せたいなと思ってます。
やってみたいことをやるべきだと思います。
周りに変だと思われても周りはあまり気にしない方がいいです。自分の人生は自分で決めるべき!
私が変だと言われたことを気にしていたら今ごろ日本にいないと思うの。
自分以外を気にしだすと好きなことがすーっとどこかに行って消えてしまう。私は一人ぼっちは辛かったけど、今は幸せだから良かったなって思います。
それがファンに伝わって欲しい!
あと、自信持ちな!!
日本人は自信がなさすぎて逆にコンプレックスに思ってる部分が多いと思いますけど、日本にも日本人にも良さがあるから自信持って!
命は一つ。命が大切だと分からないとコンプレックスが出てきてしまうよね。
自分が大切なものを知ることも重要です。家族とか友達とか。
好きなこと、大切なもの、小さな幸せが大事だと思います。
私自身がみんなにとって重要な存在だとは思っていないけど、私の意見で少しでも考えてもらえるならこれからも伝えていきたいと思っています。
まとめ
外国人コスプレイヤーにフォーカスしお届けする『World Cosplayers』。
第一回目の今回お迎えしたのは、自身の90%は情熱で出来ていると話してくれたユリコタイガーさん。
実際にインタビューした彼女の印象は、ぱっと見はイタリアン美女。しかし、話してみるととても面白く勢いがあって真っ直ぐで芯がある女性でした。
彼女を見ていると自然と元気が出てくるし、これからますます注目のコスプレイヤーです。
ギャラリー
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