つい数年前まで、コスプレイヤーとは趣味で推しのキャラクターや作品の世界を体現している人の総称でした。
社会でコスプレの認知度が高まり、企業も注目するようになり、増々コスプレイヤー起用が増えてきました。
元々強かったSNSだけでなく、有名な雑誌の表紙やグラビア、テレビでも沢山のコスプレイヤーさんを目にすることが日に日に増え、コスプレ業界全体がまだまだ成長する未来しか見えない程に輝いています。
そしてプロのコスプレイヤーさんと趣味でコスプレを楽しんでいるコスプレイヤーさんの境界も薄くなってきたように感じます。
そもそもコスプレを“仕事”にするということはどういうことなのでしょうか?
今回はコスプレを“仕事”にするということは一体どういうことなのか、一つ一つ一緒に考えていきたいと思います。
「なんだ、社会人として当然のことじゃないか!」と思う方も沢山いらっしゃると思いますが、今一度考えてみましょう。
コスプレを“仕事”にするとはどういうこと?
<C97にて「アークナイツ」のブースを彩る公式コスプレイヤーたち>
コスプレが趣味であることと、コスプレを仕事にする違いは何なのでしょうか?
この大きな違いは「報酬が受け取れる」ということと「責任が伴う」という2点ではないでしょうか。
当然、仕事でコスプレをした場合には報酬として金銭を受け取ることが出来ます。
金額は案件によって様々でしょうが、好きなことを“仕事”に出来るということは多くの人の夢でもあります。
また“仕事”としてコスプレが出来るということは努力が評価されたということで、コスプレイヤーとして誇れることでしょう。
また金銭だけでなく、メディアやイベント露出の増加・活動の幅が広がる・人脈が広がるといったことも一種の報酬となるでしょう。
また事務所に所属した場合は、個人ではとても叶わないような様々なバックアップが受けられるという報酬もあります。
“報酬”という言葉の意味は、「労働や努力や尽力などに対するお礼」です。
ということは、報酬を受け取るには労働や仕事・努力や尽力という“責任”=「引受けなければいけないこと」を負う必要があるのです。
コスプレを“仕事”にすると負う“責任”ってどんなこと?
それでは“責任” =「引受けなければいけないこと」とはどんなもことなのでしょうか?
大きく分けると3つあるのではないでしょうか。
一つ一つ具体的に考えてみましょう。
“決まり”を守る
契約書を交わした場合はもちろん契約内容に書かれていることは必ず全て守らなければいけません。
守秘義務・競合企業との関わり・兼業について・言動について…などなど、契約書に書かれている内容は全てなのです。
例えば大好きなゲームの夢の公式コスプレイヤーオーディションが開催されたとしても、競合ゲームの仕事を受けていて契約書で禁止されていればオーディションに参加することさえ許されません。
事務所と専属契約を結んだ後に個人的に念願だった仕事を依頼されても、それが禁止されていれば闇営業になってしまいます。
どんなにやりたくてもその仕事を受けることは出来ないのです。
またイベントの集合時間や場所なども“決まったこと”であれば必ず守らなければいけません。
体調を管理することも仕事の一環なので、体調は整えて休まないように、そして遅刻もないようにしなければいけません。
遅刻や休んでしまった場合の損害は、個人でイベントに参加する場合とは全く別物です。
例えば1時間遅刻してその1時間を台無しにしてしまった場合、自分が受け取る報酬を稼働時間で割った1時間分の金額だけが損害ではありません。
そのイベントのその1時間の為に、数ヶ月かけて数十人が準備してきた時間や労力、一緒にその時間イベントに立つ予定だったコスプレイヤーさんへの報酬・所属事務所のまたはコスプレイヤー全体の信用の低下などなど、たった一時間であっても損害は図りしれないのです。
また場合によっては所属事務所や本人が損害を賠償しなければいけない事態になる可能性もあります。
“需要”に応える
“報酬”を払うということは何かしらの需要に応えてもらう前提とも考えられます。
自分の時間を提供するだけでは不十分です。
求められていることにきちんと行動で応える必要があります。
例えば商品のPRでコスプレをして3時間イベント会場に立つお仕事の場合、ただ3時間立っていたのでは不十分なのです。
お仕事は“PR”なので宣伝に貢献することが求められているのです。
無表情よりは笑顔で立つこと、誰かに声を掛けられない時間も無言でいるよりは自ら声掛けをすること、キャラクターになりきって商品をアピールすること、事前や当日のSNSでの告知などなど、求められている目的を考えそれを提供する必要があるのです。
他にもステージでパフォーマンスするのであれば、見る人を魅了するパフォーマンスを披露する必要がありますし、トークショーであれば聞く人が心奪われるようなトークをする必要があります。
そうなるとある一定以上の才能や努力が必要になるでしょう。
“看板”を傷つけない
仕事となると依頼してくれた企業、担当する商品や作品などがあります。
そうなると仕事を受けた時点で一種の“看板=顔となる代表”になるのです。
事務所に所属している場合は事務所の一つの“看板”となるのです。
コスプレをするキャラクターのイメージを守るだけでなく、企業や商品、作品のイメージも守る必要があるのです。
例えば依頼を受けた後にSNSで一個人と“してしてはいけない言動”をした場合、コスプレしている時じゃないから・素の自分としてした言動だから…という話では収まりません。
なぜならば必然的に“看板”も共に同じく悪い印象を持たれてしまうからです。
もう少し規模を狭めた例で言えば、イベント終了後に仲間内で陰口を話していたら偶然そのイベントを主催した企業の方が聞いてしまい、過去定期的に大きな仕事を依頼してきてくれてたその企業から二度と所属している事務所全体へ案件がくることがなくなった…ということもあるでしょう。
依頼を受けた時点で、事務所に入った時点で、更に言えば仕事にした時点で一つの“看板”となり、それは傷つけてはいけないのです。
まとめ
冒頭でお話しした通り「何を当然のことを長ったらしく話しているんだ!」と感じた方も多いのではないかと思います。
コスプレ文化が発展する過程で色々な問題提起がされ、その度に進化してきました。
マナーも倫理観も日々高く成長している業界なので、今更こんなことは当然なのかもしれません。
でも今回一緒に考えてみて、“今一度“頑張ろう!!”と思って下さった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
分かっていることでも、再度整理して考えてみるともう一度シャキっと活が入ってやる気が出ることはあります。
今後も活躍が拡大する未来しか見えないコスプレ業界で、プロとして輝くコスプレイヤーさんが数多く誕生し、更に楽しい輝かしい業界になることを期待したいですね。
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