【インタビュー#3】麗華‐世界一の男装コスプレイヤー

~男性・男装コスプレイヤー特集~第3回は男装コスプレイヤー麗華さんです。
日本だけに留まらず海外でも人気の高い麗華さん。
今までコスプレイヤーさんにインタビューした中でも当然のことながら何度も色々な方の口からお名前が出てきました。
実際にお会いしてみて感じるたことは、器の大きさでした。
とてもリズミカルにテンポ良く話される方で、どんな質問にも迷いなく的確に答えてくださりました。
そしてその達観している言葉には優しさも度量も感じられ励まされます。
日々の中で悩んだり迷ったりすることもありますが、そんなことが些細なことに感じられる言葉の数々を聞くことが出来るインタビュー前編をお楽しみください。

男性・男装コスプレイヤー特集とは
【~コスプレは女性だけのものではない~】
今やコスプレは日本文化の誇りのひとつ。ただ女性だけがフューチャーされがちな業界ですが男性だって多数いる!さらに女性だからこそ出来る男性キャラクターもある!そんな男性・男装コスプレイヤーをemoma!編集部がピックアップし各コスプレイヤーの魅力に迫っていく特集です。

三国無双の郭嘉のコスプレをするコスプレイヤー麗華02

楽しい趣味を伸ばした先が今の男装コスプレイヤーに

コスプレはじめたきっかけは何でしたか

元々同人誌を描いていて、自分の作った同人誌を売りに即売会に行っていたんですね。
そこにコスプレイヤーさんも結構いて、「あーいうのも楽しそうだね!」ってなって手持ちの衣装を自分のブースの中で着るようになった感じです。
憧れの人がいたとか、こういうコスプレイヤーになりたいとかは全然なくて「売っている間ひまだしチョロっとやって遊ぼうか!?」みたいな遊びの一貫でした。

そこからも同人誌サークルを8年くらいやっていたので、本当にコスプレはオマケでグッズとか同人誌を販売しながら着てただけ。
写真を撮るとか撮らないとかじゃなくて、ブースで着る衣装みたいな感じでした。

最初から男装だったのですか

そうですね。
その当時、美術部だったんですけど剣道部だった後輩がいて「剣道着あげられますよ」ということがあって、家に修学旅行で買った“新選組の羽織”というベタな物もあって。
そしたらちょうど好きだった『るろうに剣心』の過去編に新選組がちょこちょこ出てきてたので「あ、これ出来るんじゃない!?」みたい流れでやったので男装でした。
別に好きなキャラクターがいて男装したというよりは、“用意出来た衣装が新選組だったから男装”でした。

その後どうしてコスプレに熱中するようになったのですか

同人誌が頭打ちになったんです。
もちろん周りの友達の方が私の100倍以上努力してたと思うのですが、毎日毎日絵の練習をしていても何か周りに比べて成長しない。
薄々気づいていたけれど私は絵がそんなに上手くない、これはそもそも絵のセンスがないんじゃないかって気付いて。
でもちょこちょこ続けてたコスプレの方はだんだん服が上手く作れるようになってきて、成長を感じられたんです。
頭打ちになった趣味より伸びしろを感じる趣味の方がやってて面白くなって、楽しさが逆転したって感じでしたね。

女性キャラクターもやるんですか

時々やります。
でも何でしょう…。なんか女装してる時は“頑張って可愛い服着てる感”が自分の中にあって。
男子高校生の制服は同じ性別でもないし実際着てきたものでもないから“あくまでコスプレ”で全然大丈夫なんですけど、女の子の可愛い衣装だとコスプレというより無理して若い服着て着飾ってる感じがして照れ恥ずかしいんですよね。

衣装バカ!?

ワンパンマンのジェノスのコスプレをするコスプレイヤー麗華

男装のコスプレイヤーさんも増えてきていますが、男装の魅力って何ですか

性別の壁を超えてる感じが楽しいですね。
女の子のコスプレだと自分の普段のお出かけとそう変わらないんですけど、男装だと男らしくなったり、おじさんになったり、少年になったりとちゃんと変われる。少なくとも性別は変われる。
その“変えている感”は楽しいですよね。

逆に男装の苦労はありますか

どうなんでしょうね。
もうやり過ぎて特別しんどいなっていうのはなくなっちゃいましたけど、まぁ胸潰しはそこそこしんどいですね。
ダンスとかステージの時やっぱりすごい息吸えないんで苦しいです。
歌も息が思いっきり吸えないんで、どうやって歌おうみたいな。
リハーサルではあんなに楽だったのに、胸つぶしをした本番はキツイみたいなのはあります。笑

コスプレのお仕事で楽しいなと思う時はどんな時ですか

モード学園のファッションデザイン学科を卒業しているので、そもそも服を作るのが専門なのです。
ですので海外の若い子達にお洋服の作り方を教えるワークショップをよくやってるんです。
自分の中で自分の能力が活かせてるなって感じがする楽しいお仕事の一つですね。

麗華さんにとってコスプレしていて最高な瞬間はどんな時ですか

私は衣装が綺麗に出来た瞬間が最高にアガるときですね。
衣装をめっちゃ頑張って作って、トルソーに完璧な状態で着せた時に最高!!ってなります。
衣装作りで大切なポイントはウエストの位置と襟と肩幅ですね。
そういう点が想像した通りのものに仕上がった時の自分の顔が乗っかってない状態が最高です。笑
ちょっと“衣装バカ”っぽいところがあるんです。

海外でのオフの過ごし方は布屋さん巡り

陰陽師ー書妖のコスプレをするコスプレイヤー麗華

海外でも衣装の素材を買われているとお聞きしましたが、どのように過ごされているのですか

そうです、とりあえず、素材を見に行きますね。
事前にスタッフさんに行きたいところを聞かれた時にはまず「布屋!」時間が余って何しますか?って聞かれた時も「布屋!!」って言ってます。
日本で売っている材料はほとんど値段も生地感も頭に入ってるので、海外ではクォリティーとか値段とか様子見て買うものは買おう!と思ってます。

特に台湾など中華系の国に行くと、チャイナボタンが破格なんですよ。
種類も20種類くらい売っててめちゃくちゃ安くて「店ごと買いたい!」「この店をそのまま日本に置きたい!!」みたいなこと、よく言ってますね。

あと猫好きなので海外行くたびに最近は猫カフェ行ってます。

海外にも猫カフェがあるのですか

あります、あります。めっちゃあります。
全然日本より安いし、猫が優しいです。
この前マレーシアでも行ったんですけど、スタッフが「お前の近くに猫が来てないから持ってきてやったぞ!」みたいな感じで私の膝に猫を乗せてくれました。笑

それほど海外のお仕事が増えたきっかけはあったのですか

Facebook始めたことですかね。
その当時も海外からメールが来てはいたんですけど、英語が苦手なのでお返事ができてなかったんですね。
でもFacebookを作ったらドーっとメッセージが来て、その中に「うちのイベントに来ませんか?」みたいな海外からのオファーが何個かあったんです。
最初の頃は「ついに日本以外でコスプレだ!」って思いましたけど、今は国境超える方が楽かな?って思うようになってきました。笑

マナー問題はコスプレ業界全体の問題

夢100のダグラスのコスプレをするコスプレイヤー麗華

海外のイベントも沢山見てきて日本との違いも熟知されていると思いますが、日本のコスプレ文化は今後どう変わっていくと思いますか

日本人の気質は変わらないと思うので、海外のようにはならないのかもしれませんね。
でも今まではコスプレイヤーさんって“人の目に付きたくない”タイプが多くて、クローズドな場所の中でのみコスプレをする閉鎖的な感じでしたよね。
それが“人の目につきたい、一般の方に見てもらいたい、むしろ着替えて外出たい!”って人が増えたので、町イベとかコスプレイヤーが表にすごく出るようになりました。
今後もそういうイベントが今よりもっと増えるのかなって思いますね。

外イベントいいなぁ!ってすごく思うんですが、うっかり誰かに会ったら気まずいと思って自分が働いてるエリアとかではイベントに出られないんです。
みんなはそんなことを気にせずにガンガン出て行くので羨ましいです。
ただ「ハメは外し過ぎないでね」とドキドキもしつつです。
コスプレイヤーさんには若い子も多いので、外に出れば出るほどマナーとかその辺の問題が出てきちゃうので、周りの方たちに気を使いつつコスプレを楽しんで欲しいなっていう希望はありますね。

仮装とコスプレの差もなくなってきていますよね。
結構自分の中ではその壁は大きいんですけど。
仮装の人たちが大きいコスプレイベントとか町のコスプレイベントにも来るようになって混じってくると色々と新しい問題が出てくるかもしれません。

今後のコスプレ文化の発展の上でその棲み分けは必要なものなのでしょうか

どうなんでしょうね。
お互いが常識の範囲でやれるなら混ざっても全然いいかと。
ただお互いが思っている常識がちょっと違うので、そこがうーんどうなんだろって思いますね。

コスプレをお仕事にした時の趣味との境界線は何かありますか

仕事なので、時間を守る・約束を守る・社会人としてのルールを守るっていう区切りはあります。
趣味なら最悪“起きたら待ち合わせ時間だった”みたいなのも許されるかもしれませんが、当然仕事だったら許されません。

それは事務所・個人関係なく仕事をするなら守るべきことですね

クライアントさんは仕事として動いている訳じゃないですか。
その中で一人が「忘れちゃってました」とか「すみません、今起きました」とか繰り返しちゃうとコスプレイヤー全体の信頼が落ちてしまいます。
事務所に入ってようが入ってなかろうが折角自分たちがそういう仕事を出来るような存在になってきたんだから「みんなの為にも今後も為にも、ちゃんとやろうよ!」とは強く思いますね。
そういう“約束時間にコスプレイヤーさんが来なかった”みたいな話しをクライアントさんから聞くと、全然知らない子でも「本当にすみません。私が代わりに謝ります」ってなっちゃいますね。

コスプレイヤーの仕事なら12カンパニーに任せたら大丈夫

FGOのアーサーのコスプレをするコスプレイヤー麗華

12カンパニーを設立した経緯を教えてください

元々個人でプロコスプレイヤーとして活躍していた、五木あきらちゃんとKANAME☆さんと自分の3人がいて、あきらちゃんから「自分達でちゃんとした事務所やりませんか」と言われたのが始まりです。

コスプレイヤー専門ではない事務所がコスプレイヤーを募集しているのをちらちら見るようになりました。
でもその事務所がコスプレイヤーの仕事をちゃんとケアできているのか少し不安がありました。
コスプレイヤーさんがたくさんいても、衣装やウィッグなどをちゃんと着付けてあげて、しっかりしたクオリティーを出せてないとコスプレの事務所である必要はない。
“コスプレイヤーがコスプレイヤーとしてちゃんと仕事が出来る会社”をやろうというのが会社を作るときの一番の考えでした。
“コスプレイヤーの仕事ならここに任せたら大丈夫”という事務所が欲しいし、必要だと考えたんです。
なので、社長を引き受けました。

水着のグラビアなどのお仕事の依頼が事務所に来た場合はどう対応していますか

事務所に所属している子達にどういう仕事がしたいか聞いていて、その子達がやりたい場合は振ります。
ただ事務所としては「うちの子達はコスプレイヤーなのでコスプレの衣装を着た状態のグラビアにしませんか」と一度コスプレを中心に考えた提案をしますね。
それでも例えば衣装代が乗せられないとか色々事情があれば考えますが、せっかくなので“コスプレが強み”という点は出来るだけ提案します。

会社設立当時コスプレイヤーさんの知り合いは他にも沢山いらっしゃったと思うのですが、その三名が集結したということは共通点などがあったのでしょうか

その時点で3人はコスプレが仕事でした。
しかもそれが何年も続いている状態で、コスプレを仕事として認識してプライドを持ってやってた子達です。
信念を持ってコスプレをやっていて、それで生きてる子達って感じですかね。

あと3人ともコスプレに対する情熱とか信念も似ていて、個人だから出来なかった仕事などで悔しい思いをしてた子達ですね。
だからこそちゃんとした会社が必要だと思いました。

最近は事務所に所属しないコスプレイヤーさんも増えてきましたが、所属するメリットは何でしょうか

個人だとお仕事やりませんか?と依頼があって、都合が合わずに断ったらその後に、誰か他の子を紹介するなんてことないじゃないですか。
でも事務所だと、仕事に合ったコスプレイヤーを紹介できます。
Aさんに来た仕事であっても他にもその作品に合いそうな子がいます。とBさん・Cさん・Dさんも提案してあげれます。
本人に直接オファーが来なくても事務所内でクライアントさんに提案が出来るということです。
そしてクライアントさんからキャラクター絵を頂いて、そのイメージに一番合う子を提案ができます。
みんなが一番輝けると思う仕事をふることができます。

あとは、うちの事務所は衣装製作や衣装修正も出来るので、お仕事でその子に求められている衣装を作ってあげられる。
“当日シワシワの衣装が届いた”みたいなトラブルも出来るだけ避けることが出来ます。

更にちゃんとしたオフィスもあるのでみんなで集まってミーティングも出来ますし、スタジオも持っているので写真も動画も撮れます。また配信も出来ます。
コスプレイヤーが仕事をしやすい環境を整えています。
例えばパッと写真撮りたいと思ってもスタジオを押さえてカメラマンさんに撮影をお願いしたら何万円となってしまいます。
そういった時に気軽に使ってもらえるような環境を整えてますし、もう少し増やしていきたいと思ってます。

事務所内で相談にのることもありますか

人手が足らなければ実務もしますし自社イベントのスタッフもやっています。
でも社長がバタバタと雑務で走り回ってるのは駄目だなと思っているので、基本週5会社にいてスタッフのみんなが悩んでたり、どうしましょってなった時に手助け出来るように見守っています。
また親睦会のような時にみんながどういうコスプレがしたいのかとか、お仕事をもっと増やす為にどうしたらいいですか?とか私や先輩の子達が答えられるようにしています。
時代とともに答えが変わるものもありますけど、出来るだけアドバイスはしていきたいなと思いますね。
間違った方に行っている子には、“そっちではないよ”って教えてあげられる環境を作っていきたいと思ってます。

環境が整っていてバックアップもしてもらえるのは魅力的ですね!同じ事務所で一緒にやっていきたいと思うコスプレイヤーさんはどんな人ですか

まず時間を守り社会人として真面目に働ける人ですね。
あと素直で真面目。普通にどこの会社でも求めてる人材と同じなんですけど、ちゃんと人間として出来てる子です。
朝が早いこともあるので、自己管理が出来ないと本人もしんどいと思います。

あとは負けず嫌いな子がいいですね。
オーディションなどもあるので、「ぜったい取りたい!取るぞ!!」みたいな気持ちが必要です。
TwitterとかSNSも事務所側でもみていますが内容すべてを見てあげることは難しいので、やっぱり自分の力で努力出来るのが一番ですね。
自分に厳しい子の方が向いてると思います。
自分に甘い子は途中で落ちちゃうかもしれません。

前編まとめ

麗華さんがいて、これほどまでに環境が整えられている12カンパニーに所属してみたいと思ったコスプレイヤーの方も多いのではないでしょうか。
真面目な質問にもさらっと答えてくださるので、ついつい突っ込んだ話題を聞いてしまいましたが、衣装の素材を買いに行く話しや猫カフェやなどについてはとても楽しそうに話してくださり凛々しくも可愛らしい方でした。

次のページの後半も海外で活躍する為の秘訣・世界一危険な国・唯一の趣味・愛について・叩かれた場合の対処法などなど盛りだくさんとなっております。
また麗華さんから読者の方へのプレゼントもありますので、お楽しみに。

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