ここからは後編です。
前編に引き続き、熱い胸のうちを聞かせていただきました。後編では初めて挑戦された舞台の話やこれからのコスプレイヤーとしての活動、ファンの方への気持ちをお届けします。
グランブルーファンタジーの四騎士『パーシヴァル』役のオフィシャルキャストの印象が強いですが、素の彼女は人間味に溢れていて責任感もありつつ、楽しむ時はとことん楽しむ精神で周りの人を明るくさせる人だと思います。
そんなびぃと。さんのたっぷりな魅力がこのインタビューを通して伝わると嬉しいです。
成長した新しい姿を見てもらいたい
今はホっとしてます。むしろ一周回ってよくわかんない感じになっちゃってて…燃え尽きた感じですね。
私はやっぱりコスプレイヤーなので、ここを撮ったら綺麗に見えるとか、こういうポーズで撮ったら綺麗に見えるとか、そういう“どう見えるか”というところばかりを追及してやってきたんですけど、お芝居はそれをしてしまうとお客さんからも、「あ、この人そういう芝居をしてるな」というのがバレてしまうので、いかにその役になりきれるかというのは考えました。
その役のことをもっと知ろうとしたり勉強したり、過去はどうだったんだろうなど役のことを考える時間を増やすことによって、自分じゃなくてその人自身になれる感覚があり、ただただセリフを読んでいるだけではなく本当に心からの言葉になっているような瞬間があって、あぁこれが演技というかお芝居の役になるっていうことなんだ、ってすごく勉強になりました。
今後は綺麗に撮られるということもそうなんですけど、お客さんから見て「今の動きあのキャラに見えた!」みたいな瞬間を今までより少し増せたら良いなって思いますし、舞台の経験を生かせるようなお仕事を、今後できたら良いなって思ってます。
舞台は本当に心から楽しかったんですけど、途中しんどいことも正直ありました。
お客さんに笑ってもらったり感動してもらったり、そういったみなさんの顔を見たくてずっとやってきたので、本番直前に急遽無観客オンラインと決まった時に、何を目的に頑張ってきたんだろうと折れそうになりました。
でも、四騎士の仲間や劇団の仲間たちにいろいろ支えてもらって、この人たちとどういう形でも最後までお芝居をやりたいなという気持ちになりました。
オフィシャルキャストの四騎士として共演した時に4人でいつかイベントやりたいねっていう話はしていたんですけど、今年の初めに四人の中の一人で、普段俳優をされてる方から連絡が来て「舞台一緒に出ない?」と誘ってもらったのがきっかけで出ることになりました。でも、最初はこの人何を言ってるんだろうって思いました。笑
その俳優さんがとある劇団で座長を任されることになり、「この4人で舞台をやりたい」ということで誘っていただきました。
私は元々コスプレしかしたことなく、もちろん舞台経験もないので、最初はお芝居とかやったことないし、そもそもコスプレの時以外は女性なので、写真で撮られるだけならあまりわからないかもしれないですけど、喋ったらやっぱり女性なのでどういう形で出たらいいんだろうと思いました。
オフィシャルキャストのお仕事の方で最近では写真に撮られるだけではなく、演技力も求められているので、少しでもそちらのお仕事の方にプラスになればいいなという想いと応援してくださっている方々に私の新しい姿を見てもらいたいなという想いもあり、やるからにはやるから、ど素人だけど面倒見てよね、ということで引き受けました。
最初は発声の練習や感情を出す練習など基本的なことからスタートし、座長の俳優さんに個別で稽古をしてもらっていて、そして本格的な稽古が3月から始まって全員で心ひとつに頑張っていた最中、4月の公演が急遽コロナで中止になってしまいました。もう一度5月末にやろうってなったんですけど、それも結局コロナでダメになっちゃって…延期延期を繰り返してようやく7月に開催することになったら今度は無観客開催が決定して、もう本当に何度も叩きのめされながら、みんなで長い時間戦ってきて本当に今はみんなでやれてよかったなと思っています。
好きなことだからこそ努力も出来る
正直、結構落ち込んだというか、どうしようって閉じこもる時もあったんですけど、その時は本当に仲間に支えられました。
「今、どうしても気持ちが上がってこないんだけどどうしたらいい?」って連絡したら、そっちに行こうか?みたいな感じで心配もしてくれましたし、みんなと他愛もない話をするだけでも仲間とつながっているような感覚になれましたし、気持ちも上がってくるしモチベーションも高くなっていって。
演者やスタッフさん含め全員が、一人ひとりの「この舞台を届けたい」っていう強い意志みたいなのを感じ取って、みんなが自然とやろう、やろう、っていう気持ちになって進めている感じでしたね。みんながひとつになるってこういうことなんだなっていうのを感じました。
実際に集まっての稽古ができなくなった期間もありました。私自身舞台は未経験なので完全に離れちゃう時期があるとお芝居への感覚が抜けちゃうなと思って、座長に相談しつつリモートで稽古してもらったりお芝居の本読んでみたり舞台をたくさん見たりしました。
それと邦画やドラマを見て、この時の感情はあのシーンに似てるなというのをイメージしながら何度も再生してちょっと真似て喋ってみたりして感覚は忘れないようにしていました。
いや、全然出来ていないなって常々自分では思っていて、お仕事でもやらせてはいただいているんですけど、常に人より劣っているというか、出来ていない部分も多いなと思っています。
なので、それで自分を追い込みすぎちゃって潰れそうになる時もあるんですけど、逆に足りないからこそ頑張れるというか出来ていない部分がわかったら、どうすれば出来るようになるか考えて、じゃあジムに行こう、殺陣のお稽古に行こう、お芝居の練習をしよう、さらにそれができなかったらまずこれから始めてみよう、みたいな。
そういう風にどんどん軌道修正するようにしているので、自分で凄い出来ているって思うことは全くないですね。
表現力があるとも全然思わないし自分より綺麗なレイヤーさんなんて何百人っていらっしゃると思うので自分自身まだまだだと思っています。
コスプレを辞めることを踏みとどまらせてくれたのもファンの方
常々思っていることなんですけど、他人を応援することって本当に凄いことだなと思っていて、私は芸能人でもないし、ただのコスプレイヤーなのに少なからず応援してくれる方がいることに本当に感謝しなきゃいけないし、奇跡みたいなことだなって思っているんです。
やはりそういう方々のことは一番大事にしなくちゃいけないなと思っているし、その人たちに恥じない行動をしたいし応援しなければよかったという風に思われちゃうことが一番悲しいので努力を続けたいです。
こんな私のことを応援してくれているのだから、その人にも幸せになって欲しいし少しでも喜んで欲しいなという気持ちは常に持ってます。
私自身、自分にあんまり自信が持てないうえに完璧主義者で100点取れなかったらもうダメだと思うタイプなので、そのせいでお仕事をさせてもらった時に特にそれを感じてしまうことがあるんです。
今やらせていただいているグラブルのオフィシャルキャストもそうですが、本来男性のキャラクターには男性を起用することがほとんどだと思うんですけど、私のような女性を起用していただくって、本当に夢みたいに光栄なことなんですけど、自分が作品のいちファンとして逆の立場だったらどうかなとか考えることがあって。
沢山いるコスプレイヤーさんや俳優さんたちの中からこうして選んでいただいて、お仕事として任せてもらっている以上は絶対に成果を出したいという気持ちではやっているんですけど、その気持ちが強くなればなるほど、どうしても越えられない部分に気づいてしまったり、いろんな葛藤があって、自分自身をどんどん追い詰めちゃっている時期があって悩みました。
実は一度、このキャラクターのオフィシャルキャストは私で良いのかなとか、キャラクターのファンの方に申し訳ない気持ちになっていた時期があって、正直もうコスプレ辞めようかなと思ってしまったことがあったんです。私自身が勝手に考えすぎて潰れかけちゃったって感じなんですけど。
ちょうどその時期に開催されたコミケで初めて写真集を出すことが決まっていて、そんな気持ちのまま販売に行ったのですが、そこで買いに来てくれた方々に「パーシヴァルをやってくれて本当に有難うございます。あなたでよかった。」と声をかけてもらえたことが本当に私の中で大きくて、私がオフィシャルキャストをやらせていただいて良かったのかもしれないって思えるようになり、その時にもう少し頑張ってみようという気持ちになりました。
あのタイミングがなかったら私は今もしかしたらコスプレが出来ていなかったかもしれないので、そういう意味でも応援してくれる方にはめちゃくちゃ力をもらっています。
その人たちがいなかったら今の自分はいないことは断言できますし、感謝してもしきれないので、これからは少しでも恩返しが出来るように自分のパフォーマンスを上げて、もっともっと楽しんでもらいたいなと思いますし、グランブルファンタジーという作品をより好きになるきっかけをもっともっと作れれば良いなと思います。
今は見に来てくださった皆さんが楽しんでくれている姿や、かけてくださる言葉が本当に嬉しくって、表現するって楽しい~~って気持ちでやらせていただいてます。
あとはなにより、今やらせていただいているキャラクターが大好きなので、今後もコスプレイヤー魂でもっともっと近づけられたらいいなって思ってます。
今年は舞台でお芝居を経験したので、自分が新たに身に付けたスキルみたいなものを発揮する場に出たいと思っています。
静止画として撮られるというだけではなく、「今の仕草すごいあのキャラだった」「あのキャラに見えて来た」みたいな映像作品やステージでもお仕事ができたら良いなと思っています。
その姿を早く応援してくれている方にも届けたいと思っています。
遠い目標だと、海外のイベントに行きたいなって思っています。海外のコスプレイヤーさんとも交流してみたいです。ハワイとか?笑
そうです。笑
ハワイでコスプレイベントあったら絶対行くと思います。
あとは、日本でのゲームの祭典っていったら東京ゲームショウだと思うんですけど、海外だとE3というイベントがあって、いつかそこでコスプレイヤーの仕事があれば出てみたいと思ってます。コスプレイヤーが起用されているかも分からないことなので夢のまた夢の話なんですけど、想像するだけで楽しいです!
男のキャラクターの仕事ならびぃと。となれるように努力する
やっぱり男性の公式のキャラクターだったら男性にお願いするというのが一般的だと思うんですけど、その中でも男性だけど中性的なキャラクターだったらびぃとに任せとけば絶対大丈夫みたいな人間になれたら良いなっていう思いはあります。
男装だけどびぃとさんならきっとやってくれるみたいな、そういう感じになれたら良いなっていうのは常に思ってます。
コスプレも凄く好きなんですけど、そもそも撮影が凄く好きなんです。
ただ、コスプレだとやっぱりキャラクターに似ないとダメと考えてしまうので、妥協が出来なくてめちゃくちゃ準備に時間がかかるんですけど、オリジナルならそういうこと関係なく自由に出来るし、準備にもあまり時間がかからないのでそういう面でもやりやすいです。
それに撮影していても表情が似せられなかったりすると作品自体ボツにしちゃうこともあるんですけど、そういうことが無いのがポートレートだなと思っていて好き勝手に撮影できるから楽しいです。
私は身長が高いことがものすごくコンプレックスだったんですけど、そういうことも生かして自分の好きな感じの服を着たり、理想の男性を想定して撮ってもらうので本当に楽しいです。
作品をアップして感想もらえる時もめちゃくちゃ嬉しいんですけど、やっぱり撮影中はすごく楽しいです。
コスプレは楽しまないと意味ないと思っているので撮影中はカメラマンさんと一緒になって幼稚園の子どもみたいに、撮ったものを見せてもらって「これヤバい!」「天才じゃん!」みたいな感じでお互いを褒め合ってワーキャー言いながら撮影しています。笑
とにかくいつも本当に有難うっていう気持ちで感謝しかありません。
これからも色々なことに挑戦していこうと思っているので、懲りずに見ていてもらえたら嬉しいなって思います。お手紙くれる方もたくさんいて何度も読み返しています。
まとめ
コスプレ撮影時には、とことん楽しみ自身を5歳のようと表現する一方、クオリティには一切の妥協は許さない姿勢は本物です。
そのせいか、もう一度舞台をやりたいか聞いた時には「やりたい気持ちはあるが時間が取れなさ過ぎて出来ない」と言うほど何事にも全力投球で徹底して気持ちも作り込むストイックなタイプとのこと。
ひとつ一つのコスプレの作品にもその気持ちが入っていて、取材してから見る作品の見え方もまた変わってきました。
今年は残念ながらコロナウイルスの影響はイベントも少なく、コスプレを生で見ることがなかなか出来ず悔しいですが、来年イベントが開催された際にはぜひ舞台で磨き上げられたスキルを生で見たいと思います。
ギャラリー
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