いきなり辞書の引用からスタートしましたが、国ごとに価値観やタブーの違いはありますね。
日本人としては普通なことが海外ではタブーなんてこともあります。
私の住んでいる太平洋をがっつりまたいだアメリカ西海岸は日本との時差16時間!
当然ですが日本とはかなり文化が違います。
そんな遠い異文化の土地でもオタク文化やコスプレが多くの人に愛されていて、日本人としてなんだか誇らしいです。
そして日本でコスプレイヤーとして活躍していても、最近ではSNSで簡単に外国の人とも簡単に触れ合えるようになりましたね。
ただ海外の人との距離が近くなると、文化や価値観・タブーの違いでとまどうこともあるのではないかと思います。
今回は、大阪生まれ大阪育ち、生粋の大阪、否、日本人の筆者が、普通だと思って発言していたことが、タブーを踏み抜いていた・・・という失敗談をシェアしていきたいと思います。
コスプレイヤーの皆さんが、海外の人をSNS上で交流する際やイベントで話す時の参考になったら良いなと思います!
日本人、タブーを踏み抜く!?
私はアメリカに来て少し経った頃、渡米前から比べて10kg以上増量しました。
こんなに一気に増量すると、単純に膝にきます。皆さん気を付けてください。
その頃には、コスプレイヤーやカメラマンの友人も増え、ありがたいことに彼らから「次のコンベンションは何のコスプレするの?」「君のインスタにある〇〇のキャラで撮影しようよ!」と誘われることが多くなりました。
私は「今、すごく太っているから〇〇のコスプレはできないよ~」「私こっちに来て10kg以上太ったの!まじデブ!」「痩せたら私から誘うよ~あはは~(笑)」と自虐を交えて冗談っぽく答えていました。
すると、たいていそこから会話は続かず微妙な空気に何度かなったのです…。
日本で活動してたころはお世辞で「撮影しよう」と言ってくれても、いざ太っているとなると嫌煙されることも多かったので、その時は「やっぱりデブは需要ないな」くらいに思っていました。
しかもそれは自己責任なので、そういうことになっても相手が悪いとは全く思いませんでした。
それが日本では普通だったのです。
しかしこれが、“アメリカ社会的には、かなり地雷を踏み抜いている”と、後々知ることになるのです…。
ボディ・シェイミングとコスプレ
“地雷”とは何だったのかというと、アメリカにはかなり浸透している概念でBody Shaming(ボディ・シェイミング)というものがあるのです。
ボディ・シェイミングとは外見や体型について馬鹿にしたり批判をしたりすることで、これがアメリカを含む海外では絶対的なタブーなのです!
成長過程で自然に構築された身体に対して、美の基準に合っている・いないということは言うべきではない、という考え方ですね。
これは“自他問わず”で、自虐でもタブーなのです・・・。
比べて日本では特に自分のことは自虐的に言いがちですよね。
私も、よく自虐的にいろいろ言うタイプだったので、「私デブだから〇〇(キャラ名)はきついわ(笑)」「また太った(笑)」「デブスだから美容整形したい(笑)」なんてしょっちゅう言っていました。
私はアメリカに来てもそのまま普通に言っていましたが、場がまじで凍ります。
身長もボディ・シェイミングに当てはまります。
私の身長はアメリカ人の平均くらいなのですが、自分のことだからオッケーだと思って「ちんちくりんのアジア人だから~」とか平気で言っていました…。
私は空気が読めない上に、当時は言語の壁もあって、場が凍っていることにはしばらく気づかなかったのですが、周りはドン引きです。
自分がドン引きされるだけでなく、タブーと知らなかった為に人を傷つけてしまったこともありました…。
ある時、いつも通り自虐っぽく自分の体型のことを言った私に、女性コスプレイヤーが「ね、あなたもそう言うでしょう?私は日本のイベントにまた行きたいけど怖いよ。」と呆れたように言われたことがあります。
話を聞くと、彼女は旅行で何度も日本に行ったことがあり、日本語もかなり堪能ですが、容姿は白人系なので日本のイベントでは「日本語の通じない外国人」と思われたようで、イベント会場にいた他のコスプレイヤーに「やば~でかっ(笑)ウィッグ色違うし。さすがガイジン(笑)」と言われたのが聞こえたことがあったそうです。
彼女はその日本人たちが何を言っていたか分かったし、怒ったけど、とても悲しくて振り向けなかったそうです…。
私はそれを聞いてすごくハッとしました!
私は彼女に「太っている」と言ったわけじゃないし、そんなことは全く思っていませんでした。
でも彼女達には自分のことも他の人のことも体型について言わないことが当然の中、私は自虐のつもりで体型について話して、彼女の日本での嫌な思い出を呼び起こし、もう一度傷つけるという結果になってしまったのです…。
「そういう酷いことを言う人は本当に一部だし、日本人みんながそうじゃないよ。」と彼女には言いましたが、自分が「太っているからコスプレはしない」と言った後では何の説得力もなく、とにかく謝りました…。
彼女は許してくれると言っていましたが、本当に申し訳ないことを言ってしまったと猛省したのです。
その後、親切な彼女は「ボディ・シェイミング」という言葉の意味を教えてくれ、私も自分で調べて勉強しました。
そうしてみると、私自身も知らないうちに「痩せてなければ美しくない」という考えに囚われていたことに気づいたのです!
このように私は失敗を通して、体型を理由にコスプレを似合う・似合わないと言ってはいけないこと、特に自虐は日本ではごくごく普通のことだけどアメリカや海外ではタブーで絶対に言ってはいけないことを勉強しました!
肯定的な褒め言葉もNG!?
もう一つ大切なことがありまして、実は誉め言葉でも体型について発言することはアメリカや海外ではタブーということです…。
日本では良しとされている「痩せていて羨ましい」などもNGなのです。
もしかしたらその人は痩せたくて痩せている訳ではないかもしれない、という考え方ですね。
意外かもしれませんが、海外から見ると私たち日本人は良くも悪くもStrict(厳しい)民族だと言われます。
特に日本での痩せ型体型への憧れは、尋常じゃないと思われています。
他の先進国で体重を減らすことが目的の商品やプログラムの広告などを見かけることはなかなかないんです。
私たち日本人は、ある程度共通の「美の基準」のようなものがあって、それを基準に他の人を褒めたり自分をブスだとかデブだとか嗜虐的に言うことは日常的にありますよね。
でも例えばSNSやイベントで海外のコスプレイヤーさんを賞賛したいときには、「痩せていて綺麗ですね」「顔が小さくて羨ましい!」「〇頭身で二次元みたい」「手足が細くて素敵」など体型などへのコメントは避けるべきなんです!
せっかく褒めたかったのに別の意味で伝えわって嫌な思いをさせてしまっては残念でしかありませんよね…。
そういう時は「このキャラクターがとっても似合っている!」「衣装がかっこいい!」「素敵な写真だね!」「メイクがすごい!」などの褒め言葉で伝えると気持ちがそのまま届いてもちろん喜ばれます!!
まとめ
日本とは文化事情がかなり違うアメリカで、私がやらかしてしまった失敗談、いかがでしたか?
コスプレは自分を土台に使い、写真を撮ったりします。
土台が人間なのですから、当然、背の高い人、背の低い人、太っている人、痩せている人、様々な体型の人がいます。
アメリカに住んでボディ・シェイミングという考えを知って、「自分にも他人にも体型について否定的なことは言わないで、純粋にコスプレを楽しめば良いんだ!」と思うようになりました。
“この世の誰もが、違って、美しいし、かっこいいし、可愛い”という概念、素敵ですよね!
「美の基準を信仰するのはもう古い!」「誰でも、推しは私だしあなたも推し!」という風になって、大好きな二次元キャラクターをベースにコスプレすることで、誰もが自分をまるまる好きになっちゃえたら素晴らしいですね!!
この記事がコスプレイヤーの皆さんにとって、私と同じような失敗を減らし、ボディ・シェイミングについて考える機会になってくれたら、とてもうれしいです。
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