まず、アメリカでコスプレが人気になってきた件
「【アメリカのコスプレ事情】アメリカと日本のコスプレイベントの違いとは!?」でもお話しましたが、日本のオタク文化の人気は北米で拡大を続けており、Anime Expo(AX)のような大きなコンベンションの規模は、10年ほど前は数千人単位だったものが、近年では数十万人の来場者があります。
読者の皆さん、はじめまして。このたびemoma!で執筆をさせていただくことになりました、みきさゆりと申します。結構長い間、ゆるーくコスプレを続けております。現在アメリカのカリフォルニア州というところに住んでいるので、emoma![…]
またインスタグラムでも、アメリカ人のコスプレイヤーやコスプレカメラマンのアカウントがこの5年で爆発的に増えています。
筆者はアメリカに住み始めてまだ3年ほどですが、アメリカのコスプレ文化に触れると、日本のコスプレ事情とは少し違った点も多く見受けられと感じました。
アメリカならではの文化的背景も含めて、読者の皆さんにシェアしたいと思います。
アメリカ人にとって「違う自分になれるからコスプレが好き」は不思議な理由!?
8年くらい前に、サンフランシスコで、J-pop Fesに参加した時、現地で仲良くなったアメリカ人コスプレイヤーの女の子に「あなたは、どうしてコスプレが好きなの?何が好き?」と聞かれました。
当時、英語もままならない状態で簡単な回答しかできなかったのですが、「違う自分になれることが楽しい。」と答えました。
彼女は不思議そうにして「違う自分になりたいの?」と聞き返してきました。
彼女の質問の意図がよくわからず、「あなたはどうなの?」と聞くと、彼女は私にもわかりやすい丁寧な英語で、「私は、大好きなキャラクターの衣装を着て、同じキャラクターや作品が好きな友達と出会ったり、その作品やそのコスプレについて話したりすることがとても楽しいからコスプレが好きなんだ!」と答えてくれました。
その時、“ああ、なるほど。彼女にとってコスプレはコミュニケーションツールなんだ!”と気づきました。
そしてずいぶん後に「違う自分になりたい」という回答に、彼女が不思議そうに聞き返した意味も知ることになりましたが、これはとても長くなるのでまた別記事でシェアしますね。
コスプレには何が大事!という基準がない?
サンフランシスコで出会ったコスプレイヤーの言った「コスプレはコミュニケーションの方法」というのは、彼女の意見だと思っていたのですが、ロサンゼルスに引っ越しイベントにもいくつか参加し、友達もでき始めた頃、これは多くのアメリカ人コスプレイヤーにある共通の認識であることに気づきました。
アメリカのコスプレイヤーたちには、「コスプレ」に何が必要か、という基準があまりありません。
衣装は自作派、業者から購入派ももちろんいますし、ウィッグをかぶる人もいれば、かぶらない人も、カラコンを使う人もそうでない人もいます。
作品オリジナルには登場しない衣装を自分でアレンジして自分を媒介にした二次創作を楽しむ人、アニメや漫画などから着想を経て自分で何か作る人・・・彼らのコスプレの楽しみ方は千差万別で、基準というものがありません。
LAの大きなコンベンションで出会った男性が、あるアニメのキャラクターのウィッグと小物類に、とあるストリートブランドのTシャツを着ていて、「彼が現代アメリカにいたらこれを絶対着ると思うんだよね!」と言っていて、「たしかに~!」と言って笑いあったこともありました。
個人的に、日本だとあまり見たことがない光景だな、と思います。
良い意味でとても自由で、とにかく好きなものをみんなで楽しみたい!共有したい!という気持ちが強いのが、アメリカのコスプレイヤーたちのようです。
その衣装、ウィッグ、メイクが原作と何か違ったり、変わっていたり、アレンジされたりしていても、そんなことは基本的にどうでも良いのです。
もちろん自由なので、原作を忠実に再現したい!もありで、好きなようにコスプレを楽しめばいいだけです。
このようにアメリカではコスプレがコミュニケーションツールになっているので、全体的にスタジオやロケに行って良い写真を撮ろうとする撮影派より、コスプレをしてイベントやMeet-Up、パーティーをしたりする交流派の方が割合が多い印象です。
アメリカで人気コスプレイヤーってどんな人?
アメリカは都市部が海側に集まっていて、西海岸と東海岸では文化も違い、この違いはコスプレ文化でも存在するそうです。
日本では、人気コスプレイヤーが公式にキャラクターのモデルになったりして、雑誌やWEBで見かけることはよくあると思います。
こういう人気コスプレイヤーが商業に携わる「プロコスプレイヤー」の数はまだかなり少ないのですが、東海岸にはいるにはいるそうで、西海岸にはほとんどいないそうです。
個人的には、アメリカでコスプレで生計を立てている人に出会ったことはありません。
西海岸はハリウッドなどもあってエンターテイメントの中心地なのに、プロコスプレイヤーがいないのは意外でした。
やはりまだ需要がそれほど大きくはないのでしょう。
そしてアメリカの人気コスプレイヤーに共通していることは、ずばりスキルです。
多くの人気コスプレイヤーが自作衣装で、武器などの大きい製作物や、装飾品などの小物まで、とにかく作りまくります。
製作過程をネットで公開してる人気コスプレイヤーさんも多いですね。
衣装購入派のスーパーモデルのような美人コスプレイヤーより、自作でかっこいい武器を作る人の方が圧倒的に人気になります。
これは文化背景も関係していると思われるのですが、たとえば日本の女性アイドル文化では、彼女たちの多くは歌やダンスが世界で通用するほど上手いというわけではないですよね。
私もアイドルは大好きなので、否定的な意味ではありません。
彼女たちはとにかく「若くて、かわいい」くて、ファンには「アイドルとして成長していく過程を応援して人気者にしたい!」という心理があります。これが海外から見るとすごく日本人的なのです。
比較の為に直接的に言ってしまえば、スキルがなくても“応援したいファン心理ゆえに若くてかわいい人の人気が出るのが日本的文化で、歌うなら会場中が黙ってしまうくらい上手じゃないとだめ!ユニークでないとだめ!というのがアメリカ的な文化なのです。
日本でアイドル文化は巨大産業であるにも関わらず、アニメや漫画などの文化と一緒にアメリカに輸入しなかった、できなかった理由はここにあると思います。
日本とアメリカでは、人気者になる為に必要な素質が文化レベルで違うのです。
これは根本的な認識のようで、コスプレイヤーをしていても同じです。
アメリカで人気コスプレイヤーになるには、とにかく誰にも負けないスキルが必要なのです。
初回にも話を聞いたアメリカ人コスプレイヤーのKOKOROちゃんに、また話を聞いてみました。
「日本のコスプレは、コスプレイヤーの見た目を可愛く、かっこよくすることが重要視されたりする印象だけど、アメリカはそういう部分はかなり違う。衣装や小道具を作るのがうまいとか、メイクのスキルとか、そういう技術的な部分がすごく重要かな。あとはコミュニケーションや人間性が大事だね、コミュ力が高くて、良い人はコネもできてくるし、自然と人気になるんだと思うよ。」
スキルやコミュ力が重要ってめっちゃアメリカ~って感じがします。
実はアメリカの就活とかもこんな感じなのです。
まとめ
アメリカ人のコスプレの楽しみ方、いかがでしたか?
日本とアメリカでは、楽しみ方も、人気者も、かなり違いますね。
ちなみに記事内でも触れた「プロコスプレイヤー」などのコスプレ商業事情も、アメリカと日本ではかなり違います。
これもまた別記事でシェアさせてくださいね!
機会があればアメリカの人気コスプレイヤーたちへのインタビューもシェアしたいです。
そして、もしあなたがコスプレ好きなら、きっとアメリカで友達がたくさんできますよ。
ぜひアメリカのコンベンションを訪ねてください!
協力:KOKORO(Instagram:koko.ro)
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