皆さんは『十二国記』という作品をご存知でしょうか?
『十二国記』は、1991年から続く壮大なシリーズ作品です。作者は、近年では映画化もされた『残穢』などで知られる小野不由美先生。
二つの世界は、「蝕」と呼ばれる現象によってのみ、行き来することができる。〈十二国〉では、天意を受けた霊獣である麒麟が王を見出し、「誓約」を交わして玉座に据える。選ばれし王が国を治め、麒麟がそれを輔佐する。しかし〈道〉を誤れば、その命は失われる。気候、慣習、政治体制などが異なるそれぞれの国を舞台に、懸命に生きる市井の民、政変に翻弄される王、理想に燃える官史などが、丹念に綴られている壮大な物語である。
(小野不由美「十二国記」新潮社公式サイトhttps://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/より引用)
2019年10月に18年ぶりの最新巻が発売したことで、書店で大々的なポップを見たという方もいるのではないでしょうか?
ですが、筆者の世代くらいまでは学校の図書室で読み耽ったなんて人が多いものの、知らない……という方もいらっしゃるかもしれません。
そんなアナタに、今回は十二国記の魅力を少しでもお伝えできたらと思います。
重厚に作り込まれた中国風異世界「十二国」の設定
冒頭のあらすじ通り、『十二国記』は架空の異世界「十二国」が舞台です。
そんな十二国は、私達の住む世界(作中では「蓬莱」と呼ばれます)とは似ているようでかなり違っていて、異世界の設定の作り込みがもう凄いんです!
・人間界の他に仙界(仙人の世界)が存在し、仙籍に入ると不老になる。王や麒麟も基本的には不老不死。ただし、他国への侵略や暴政などの「道」(天が定めた摂理のようなもの)に外れた政治をすると麒麟が病んでしまい、それが改められなければやがて死ぬ。王を選んだ麒麟が死ぬと、王も死ぬ。
・神仙の他にも妖魔や半獣(半分人間で半分獣の人。国によっては差別を受けている)など、多種多様な生き物が存在する。
・人間を含むすべての生き物は「里木(りぼく)」と呼ばれる木になる「胎果」という実から生まれる。時々この「胎果」が海に流れてこちら側の世界「蓬莱」に流れ着き、蓬莱の普通の人間として生まれてしまうケースがある。
・十二国は細いひし形のような地形で出来た8つの国と、その周りの4つの島国で成る。海に囲まれており、中心の島は麒麟が生まれる木があり、女仙が幼い麒麟に仕える聖域となっている。
などなど……触りだけご紹介しましたが、他にもこれに付随する細かな設定がたくさん存在しています。
こんなに設定が作り込まれているので、読んでいるとまるで本当に十二国があるような気持ちになってとってもワクワクします。
ファンタジー好きにはたまりません!
山田章博先生によって描かれた美麗なキャラクターデザイン
『十二国記』シリーズはいくつかの文庫から出版されているのですが、オススメは新潮文庫完全版です。
何故なら、山田章博先生の美麗な表紙&挿絵が入っているからです!!
十二国記の舞台である「十二国」は中国風の異世界とご紹介しましたが、それはキャラクターの衣装にも現れています。
王や麒麟たちの布がたっぷり使われた豪奢な中華風衣装は、コスプレイヤーの皆さんの心をくすぐること間違いなしです!
また、麒麟は基本的には美しい金髪の長髪です。(例外として「黒麒」という黒い麒麟もいるんですが……)
が、一口に金髪と言ってもそれぞれの麒麟によって色味が絶妙に異なっていて……
十二国記ファンとしては、ゴールド系のウィッグを見ていると「この金は景麒っぽい……この金は絶対延麒だ!」と言ったように思わずどれがどの麒麟のウィッグに使えるか考えてしまいます(笑)
ちなみに、十二国記は2002年にNHKでアニメ化もされています。
山田章博先生のイラストを元にしたキャラクターたちが登場するので、こちらも是非チェックしてみてほしいです!
生きづらさを抱える人が自分の本当の居場所を見つける物語
『十二国記』シリーズ第1巻「月の影 影の海」では、主人公である日本の女子高生・陽子が、十二国のうちの「慶国」からやってきた麒麟・景麒に王として選ばれ、十二国に渡っていく物語が描かれます。
陽子は元々十二国世界で生まれるはずの胎果だったのですが、「蝕」と呼ばれる災害により海に流され、日本で生まれました。
ですが、元々十二国の人間なので、地毛が赤いなど見た目が周りと少し違い、今生きている世界に居づらさを感じていました。
他にも、逆に日本から「蝕」で十二国世界へ流されてしまった人が登場したりと、『十二国記』では全体を通して「本来あるべきでない場所に来てしまった人が、苦難と対峙しながら本当の居場所を見つけていく物語」が随所に描かれています。
このテーマが思春期の少女たちの心に響くんです……!
もしビビッと来た人がいたら、絶対に読んでほしいです。
まとめ
『十二国記』の物語の重厚さはもちろんのこと、中華風の衣装や世界観と、美麗なキャラクターデザインが魅力の『十二国記』は、コスプレにも絶対に映えます!
王宮っぽい中華な建物や山の中など、どのシーンをどんなところでロケしたらいいか妄想するとニヤニヤしてしまいます(笑)
『十二国記』には一応巻数が振られているものの、どれも年代が前後しながら十二国であった様々な歴史を描いた作品となっているので、設定さえ頭に入れていればどの巻から読んでも楽しむことができます。
ファンタジー好きでまだ『十二国記』を未読の方は是非、お手に取ってみてください!
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