コスプレ作品は動画が主流になりつつある!?スチールカメラマンがコスプレ動画に挑戦

最近コスプレイベントで多く見かけることがある動画撮影。今回は数多くのコスプレ動画作品を撮っているたけくる(Twitter:@huskymoto)さんを先生に迎え、スチールをメインにしているカメラマンのばい(Twitter:@vai_photo)さんがミラーレス一眼を使用したコスプレ動画撮影に挑戦しましたので密着しました。

コスプレイヤーモデルは先日20歳の誕生日を迎えたばかりですが、大人っぽい表情からアニメキャラのような可愛い表情まで自在に操ることができるめりのおうか(Twitter:@ouka_me_)さんです。

完成版は下記の動画ですので一度ご覧になってからお読みいただけるとより理解が深まります。

ばい
フォトグラファーのばいと申します。普段はスチールをメインに撮影を行なっております。
一眼カメラによる動画撮影に興味があり、今回たけくるさんのご紹介でemoma!さんの企画に参加させていただきました。撮影から編集までの感想を述べさせていただきたいと思います。
たけくる
動画撮影には手持ち、三脚、スライダー等を使った撮影方法がありますが、この記事ではスタビライザーを使った撮り方について述べています。
コスプレ動画とは
ひとくちにコスプレ動画と言っても、
・踊ってみた
・コスプレイベント等で多数のレイヤーさんをMV風に纏めた所謂コスプレショーケース
・スタジオやロケ撮で作り込んでいく作品撮り
等があります。

今回解説するのは作品撮りやイベント撮りで応用の効く内容となっています。

※なお、この記事はデジタル一眼カメラをマニュアルで操作出来る方を対象に書いています。またなるべく専門用語は使わないようにしています。

コスプレ動画の準備編~先ずはこれを揃えよう~

カメラ

最低でもフルHD60fpsで録画出来る機種を使いましょう。
60fpsで撮ることにより編集時にスムーズな40%のスローモーションを使う事が出来るようになります。
今回使用したカメラはSONYのα6500、レンズはSEL35 F1.8とSEL1018 F4.0になります。

スタビライザー

電動ジンバルとアナログジンバルがあります。
電動ジンバルとアナログジンバル
少し練習すればある程度安定した操作の出来る電動ジンバルがお薦めです。
現時点でコストパフォーマンスが高いと言われている機種はMOZA Aircross2Zhiyun Weebill-s、DJI RS2、DJI RSC2です。

今回の撮影で使用したジンバル「Moza Aircross」

今回使用したジンバルはMoza Aircrossです。
基本的な機能は全て揃っていながら低価格なコスパの高いモデルです。

Moza Aircrossの操作方法は下記の動画からチェックできます。

NDフィルター、可変NDフィルター

TIFFEN社の可変NDフィルターを装着したレンズ

こちらは必須と言うわけではありませんが、基本的に動画はシャッタースピードを固定して撮るため露出オーバーを防ぐ為に必要となる場面があります。
今回はTIFFEN社の可変NDフィルターを使用しました。

動画編集ソフト

代表的な物はAdobe Premiere proダヴィンチリゾルブFinal Cut Pro Xがあります。
最初はi-Movieや安価なムービースタジオ等を使うのも良いと思います。
またダヴィンチリゾルブは無料版もあります。
今回撮影編集に挑戦した、ばいさんもダヴィンチリゾルブを使っています。

コスプレ動画の実践編~歩き方、撮り方~

歩き方

姿勢は膝をやや曲げて背中を伸ばし、歩く時は踵から着地するようにします。

  • 姿勢は膝をやや曲げて背中を伸ばし、歩く時は踵から着地するようにする1
  • 姿勢は膝をやや曲げて背中を伸ばし、歩く時は踵から着地するようにする2

<以下すべて画像はタップして拡大できます>
歩幅が広いと上下動が出やすくなるので小股で歩きます
ジンバルはなるべく重心位置に近いYAWモーター付近を持つようにすると安定感が増します。

  • ジンバルはなるべく重心位置に近いYAWモーター付近を持つようにすると安定感が増す

腕は歩行時の振動を肘や肩で吸収出来るように余裕を持たせます。

  • 腕は歩行時の振動を肘や肩で吸収出来るように余裕を持たせる1
  • 腕は歩行時の振動を肘や肩で吸収出来るように余裕を持たせる2

撮り方

チルト(カメラを中心に上下)

  • チルト(カメラを中心に上)
  • チルト(カメラを中心に下)

パン(カメラを中心に左右)

  • パン(カメラを中心に右)
  • パン(カメラを中心に左)

フロントビューフォロー(前方に移動する被写体を正面から追従する)

  • フロントビューフォロー(前方に移動する被写体を正面から追従する)

リアビューフォロー(前方に移動する被写体を後方から追従する)

  • リアビューフォロー(前方に移動する被写体を後方から追従する)

オービット(旋回)

  • オービット(旋回)1
  • オービット(旋回)2
  • オービット(旋回)3

ラテラル(側面)

  • ラテラル(側面)

インバートモード(ローモード)

  • インバートモード(ローモード)

地面スレスレで撮る時やハイアングルで撮る場合は延長のポールを使うと姿勢の崩れが少なくなります

  • 地面スレスレで撮る時やハイアングルで撮る場合は延長ポールを使う1
  • 地面スレスレで撮る時やハイアングルで撮る場合は延長ポールを使う1

その他にカメラ自体が被写体に寄ったり離れたりするドリーイン、ドリーアウトがあります

実践では以上を適宜組み合わせて撮って行きます

実践編

では、実際にどのようなシーンで上記の撮り方を組み合わせて撮影しているのかを実際のコスプレイベントで撮影した中から見てみましょう。
ワンフェスと冬コミ(C97)にて撮影した動画から解説します。

目にフォーカスを合わせた所から一旦引いてカメラ目線のタイミングに合わせてドリーイン(ズームインでなくカメラ自体が近づく)

  • 目にフォーカスを合わせておき、一度引いた状態
  • カメラ目線のタイミングでドリーイン

背後のボケにプラスしてアイテムを使用した前ボケを使った例

ドリーイン、アウトやオービットと組み合わせると効果的。

  • 背後のボケにプラスしてアイテムを使用した前ボケを使った例1
  • 背後のボケにプラスしてアイテムを使用した前ボケを使った例2
  • 背後のボケにプラスしてアイテムを使用した前ボケを使った例3

振り向きは簡単に立体的に見せられる手法

この場合はツインテールに手を掛けることでアクションを増やした。
振り向くタイミングに合わせてチルトダウンやパン、ウィップパン(素早い横振り)等と組み合わせる。

  • 振り向きは簡単に立体的に見せられる手法1
  • 振り向きは簡単に立体的に見せられる手法2

複数人数の場合は前後に配置する事で奥行き感を出す

ドリーインと併用も効果的。

  • 複数人数の場合は前後に配置する事で奥行き感を出す1
  • 複数人数の場合は前後に配置する事で奥行き感を出す2

ウィッグで髪を払う動作も手軽に立体感を出す事が出来る

コツはオーバーアクション気味でやってもらう事。
標準から中望遠レンズで撮り編集で緩急を付けると雰囲気が出る。

  • ウィッグの毛先を持ってもらう
  • その毛先をふわっと払うことで動きを出す

マントやスカートなどヒラミが出る衣装の場合は広角レンズで撮ると効果的

コツはレイヤーさんと逆方向に回りながら撮ることでより躍動感が出る。
インバートモードでオービット(旋回)半回転と組み合わせる場合が多い。

  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る1
  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る2
  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る3
  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る4
  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る5
  • マントやスカートなどヒラみが出る衣装の場合は広角レンズで撮る6

周りに人がいない場合は超広角レンズであおり気味に撮ると迫力が出る

コツはただ周りを回るのではなく近づきながら回る。
リアビューフォローからオービットに繋げロール軸の動きやチルトアップを入れられるとさらに迫力が増す。

  • 回りに人がいない場合は超広角レンズであおり気味に撮ると迫力が出る1
  • 回りに人がいない場合は超広角レンズであおり気味に撮ると迫力が出る2
  • 回りに人がいない場合は超広角レンズであおり気味に撮ると迫力が出る3

完成版の動画がこちら

コスプレ動画の撮影のコツ編~静止画と動画の違いとは~

静止画と動画の大きな違いは時間軸があることと立体的な描写が出来る事だと思います。
それらについて撮影のコツ等も含めて簡単に説明したいと思います。

動画を撮る際の4つのパターン

被写体が動いていてカメラが止まっている
被写体が止まっていてカメラが動いている
被写体とカメラが動いている
被写体とカメラが止まっているが照明が動いている

この4つになります。
(写真を撮る感覚で動画を撮ると被写体とカメラ両方が止まってしまうパターンが多いようです)

何を見せたいかによってどちらがどのように動くかが決まります。
さらにカメラを動かす時は目的意識を持つようにしないと見ている方に違和感が出やすくなります。

立体的に見せるコツ

被写体に対し背景と前景を入れた3層レイヤー的な構図を意識する
ひとつのシーンを分割して色々な角度から撮る
移動によるボケからフォーカスの活用

等になります。
あくまで一例ですので色々と研究してみましょう。

注意点

写真を撮る感覚で撮影をしていると圧倒的に素材が不足します
ワンカットで使用するのは2秒と考えて撮りましょう。

同じ画角で撮り続けないようにしましょう
引きと寄りを意識して撮るようにすると編集が大変しやすくなります。

メインの被写体だけでなくその他の物(例えば身に付けているアイテムや武器等)や周りの風景等も撮るようにしましょう

スチールカメラマンばいさんが感じる静止画と動画の違いと難しさ

撮影する前にある程度構想は練っていたものの、いざ撮るとなると、モデルさんとの意思疎通やジンバル・カメラの扱いが上手くいかずで、途中から何を撮って良いのかわからなくなってしまい自分の未熟さを感じました。
しかしながら、モデルの桜花さんの優しいフォローと、たけくるさんのご指導のおかげで、何とか成功カットを撮ることができました。

動画撮影と写真撮影の共通点は構図です。やはり動画といっても構成としては写真の連続であり、モデルが背景を含めて一番美しく見える構図で撮る、主題と副題を意識する、前ボケ等を使ったり等、そういった点においては共通なのかなと思います。

逆に、写真との違いは、当たり前の話ですが「動作」を撮るということです。
写真ではよく「渾身の一枚」などという言葉を耳にしますが、その言葉からもわかる通り最高の瞬間を切り取ることができればその一枚で作品が完結することが多いです。
もちろん、静止画でもモデルに対して動作を求めてそれを撮るということはよくあることですが、基本的には「ポーズ」を取ってもらいそれを撮影することがほとんどかと思います。
とは言っても、RECボタンを押してから最初から最後まで完璧に撮る必要はなく、よく撮れたカットの更に良い部分だけを使うイメージですので、その辺はあまり難しく考えなくて良いのかなと思います。もちろん可能な限り長く良いものを撮れたらそれが一番だとは思います。

動画編集について

私は、たけくるさんの紹介でダヴィンチリゾルブという無料でも使える編集ソフトを使っています。
無料版でも色味や明るさの調整を細かくできますし、エフェクトも多く、使いきれないくらい多機能です。
その分、パソコンのスペックはそれなりに高いものが必要ですが、この無料版だけでも十分に本格的な動画が作れるのではないかなと思います。

編集に関して、大切なことは最初の設定をしっかりと行うことと音楽の選択だと思います。
この二つは動画の完成度を大きく左右しますので慎重に行いたいです。今回私はこれを間違えてしまい、一度最初から作り直しをしました。。
根気のいる作業でしたが、完成した動画を見た時は本当に感動し、自分が作った物なのに何度も見てしまいました。

今回のコスプレ動画を撮影してみて・・・

上記の文章で物凄く難しい印象を与えてしまったかもしれませんが、良く撮れた動画の良い部分だけを切り取って並べて、それに合いそうな音楽をつければ意外と良い動画になりますよ!
難しいことはさておき、とりあえずスタートしちゃえば良いと思います。
編集ソフトも、MacユーザーならiMovieでも十分かなと個人的には思います。
まずは楽しく撮影・編集して慣れてきたら、より良いものを作るために追求していけば良いのではないかなと個人的には思います。

動画撮影は写真撮影とは違った楽しさがあります。最近は仕事などの関係もあり静止画撮影ばかりの毎日でしたが、これを機に動画撮影にも力を入れていきたいと思っております。

まとめ

今回はあくまで全体を説明する為に簡略した内容になっています。
それぞれの項目でのコツや注意点もたくさんありますがまた機会があれば紹介したいと思います。

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